Laini Taylor
ハードカバー: 432ページ
出版社: Little, Brown Books for Young Readers
ISBN-10: 0316134023
ISBN-13: 978-0316134026
発売日: 2011/9/27
ヤングアダルト/ファンタジー/天使と悪魔/ロマンス
プラハに住む17才のKarou(カルー)は、髪をウルトラマリーンに染め、掌に目のタトゥをしている典型的なアートスクールの生徒だ。最近別れたボーイフレンドにつきまとわれているが、それ以外は一見普通のティーンエイジャーである。
だが、彼女の青い髪は染めたものではなく、タトゥも普通のタトゥではない。それらは、親友にも絶対に語れない秘密のほんの一部でしかない。
Karouがスケッチブックに描くキメラや悪魔は、想像の産物ではなく、彼女が唯一知っている家族なのだ。頭に角があり、ワニのような金色の目を持つBrimstoneは、Karouの父親代わりの存在だが、厳格でキメラたちから畏怖されている。Brimstoneから命じられたら、どんな時であれ、Karouは即座に危険な場所での危険な買い物に出かけなければならない。その買い物の真の目的や、人間の自分がなぜキメラや悪魔の家族と一緒に住んでいるのか、Karouは知らずに育ってきた。
あるときKarouは突然現れた天使から襲われ、殺されかける。
天使と悪魔は何世紀にもわたって闘いを繰り広げてきた仇敵であったが、人間が信じているようにそれぞれが「善と悪」の権化ではなかった。異様に美しい天使たちも、多くの悪魔と同様に残忍な戦士だったのだ。
Karouを殺しかけた天使Akivaが途中で躊躇したのは、彼がむかし愛して失ったキメラを思い出させたからだった。
天使と悪魔の闘いが深まるなか、Karouは自分の生誕の真相を知る。
●作品について
2011年に、ヤングアダルト分野で最も注目を集めたファンタジーのひとつです。
作者のLaini Taylorは、全米図書賞の児童書部門で最終候補になったLips Touch: Three Timesのときもそうでしたが、ターゲットになっているティーン読者よりも、大人の図書館司書や、評論家に高く評価されているような気がします。
独自の世界を生み出す想像力と、それを伝える文章力があるからでしょう。
この Daughter of Smoke and Boneの最大の魅力は、 Taylorが作り上げた天使と悪魔の世界です。美しい天使と醜い悪魔は善と悪を代表する存在ではなく、ただの敵として無意味で残酷な殺戮を続けています。殺戮の空しさが分かっていても、戦士として命令に背くことができない天使と、自分の家族や仲間に裏切られたキメラの悲恋に、読者は胸を引き裂かれます。
私が好きな作家Patrick Rothfussもこの本のファンのようですが、私は前作のLips Touchを含めてTaylorの作品をいまひとつ心から愛せません。どうしても登場人物が好きになれないのです。好きになれないだけでなく、言動も納得できません。ですから、イライラします。
Taylorの作品が好きだというティーンに会ったことがないのは、登場人物に感情移入できないからかもしれません。
●読みやすさ 普通
通が好むだけあって、文章力はあります。
すっと入り込めるのではないかと思います。
●おすすめの年齢層
ティーン向けのヤングアダルト分野ですが、セクシャルな表現が多く、中学生にはおすすめできません。全米図書賞の児童書部門で最終候補になったLips Touchも、内容といい表現といい、まったく児童書ではありません。高校生以上の大人向けです。
コメント
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