Laura Whitcomb
288 ページ
Graphia
2005年9月 21日刊行
ヤングアダルト/青春小説/幽霊
130年前に死んだHelenはある罪悪感を抱えていたために昇天できず、宿主に寄り添うことで魂を存続させてきた。好奇心が強く文学好きのHelenが現在とりついているのは高校の英語教師Mr. Brownである。誰も彼女の姿が見えないはずなのに、ある日Helenは授業中に男子生徒が自分のことを見つめているのに気づく。
高校生のJamesにHelenが見えるのには理由があった。JamesもまたHelenのように幽霊だったのだが、生きる意思を失った魂が見捨てた空っぽの体に宿ったのだった。JamesとHelenは恋に落ちるが、Helenには肉体がない。JamesはHelenに肉体を得る方法を教える。
女子高生の肉体を得たHelenは、お互いの過去と自分たちの宿主JennyとBillyの過去について知るようになる。Billyはドラッグと家庭内暴力のために魂を失い、Jennyの魂は宗教心が強くて厳格すぎる両親からの精神的圧力に屈して肉体を捨てたのだ。肉体と愛を得たJamesとHelenだが、高校生の肉体を借りている2人の愛には限界があった。一連の出来事で追いつめられたJamesとHelenはある決意をする。
幽霊が登場するが、パラノーマルというよりも青春小説。また、一種の悲恋ものであるが、同時に希望に満ちたハッピーエンドともいえるエンディングは、長く心に残るであろう。
●ここが魅力!
幽霊同士のラブストーリーというとまるで漫画みたいですよね。私も「吉田秋生あたりが少女漫画にするとぴったりかも」と思いました。でもばかばかしい幽霊ものでも、甘ったるいだけのティーン向け恋愛ものでもありません。ヤングアダルト(通常14才以上の高校生が対象)ものですが、生命はいつ終わるのか、神は存在するのか、愛とは何か、など読者にいろいろと考えさせるテーマが織り込まれています。
そして、エンディングがなかなかの優れものです。
単純な悲劇でもハッピーエンドでもありません。でも、何回読んでも泣けちゃいます。それがどういう意味かはここでは内緒。ぜひ読んでください。
●読みやすさ ★★★★☆
会話は現代のものですが、スラングはほとんどありません。Twilightと同程度の難易度で、しかも Twilightより短く、読了しやすいと思います。
●アダルト度 ★★★☆☆
セックスシーンがあるので高校生以上。
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