著者:Denis Johnson
2007年9月初刊
現代文学/純文学/ベトナム戦争
忍耐がある偉大なアメリカ現代小説に挑戦したい方だけにおすすめの本
常日頃感じていることだが、偉い文芸評論家やオプラ・ウィンフリーがべた褒めしたからといって良い本とは限らない。有名な賞の受賞作もそうだ。ずっと前は、私の頭が悪いだけかと思っていたが、最近になって私の抱く感想は一般のアメリカ人読書人口とほぼ一致していることがわかってきた。(平均的アメリカ人が馬鹿だといわれたら、それまでだが)
このDenis JohnsonのTree of Smokeは、National Book Award受賞作であり、ニューヨークタイムズ紙の文芸評論家Michiko Kakutaniが「bound to become one of the classic works of literature produced by that tragic and uncannily familiar war」というものだから、それにつられて夫が買ってきたのだ。50ページ(全部で702ページ)くらいで「ひどい本だ」と放り投げた夫に「面白かったぞ」と威張るために意気込んで読み始めたのだが、退屈で50ページに達する前に3回も居眠りしてしまった。
洋書完読テクのひとつは、「面白くない本は潔く捨てる」ことである。というわけで、これは残念ながら「ゴミ箱ゆき」になった本のひとつである。
ベトナム戦争がテーマで、CIAエージェント、南ベトナムの軍人、北ベトナムのスパイ、カナダ人のナース、などいろんな登場人物が出てくる。誰かが「コラージュ」と評したが、物語があちこちに行ってフォローしにくいところがまさにコラージュらしい。文章としては、「これは良い文だ」と感心するところはあるが、なんといっても作者の意図がなかなか見えてこないのがこちらとしてはしんどい。
Amazon.comをざっとみると、半分くらいはゴミ箱ゆきにしているようだ。だが、最後まで読んだ人は500ページくらいまで読むと面白くなり、最後はとても良いそうだ。そこまで忍耐できる人は挑戦してみるとよいかもしれない。
●読みやすさ★☆☆☆☆
ともかく、登場人物が多すぎます。人物の描写のせいか個々のキャラクターになかなか興味を抱けないので、よけいに多く感じます。話がコラージュのようなので、フォローしにくいと思います。
コメント
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