著者:Nancy Horan
2007年8月初刊
ジャンル:純文学/歴史(フィクション)
建築家フランク・ロイド・ライトと彼の女性遍歴について書かれた書物は沢山あるが、彼の最初の結婚を破綻させたといわれるMamahの記録は殆ど残っていない。これは、歴史から無視されたMamahを空想力で蘇えらせた小説である。
Mamahは二児の母でありながら夫が自宅のデザインを依頼した新進の建築家Frankと恋におちる。ドイツに駆け落ちしてからは翻訳の仕事に生きがいを見出すが、恋は残酷な運命を迎える。
私にはこれまでに何度も書かれたテーマの本にしか思えなかったが、アメリカ人の姑(70代後半)やその友人たちはこの本にぞっこん惚れ込んだようである。有名大卒で経済的に成功した夫を持つ姑とその友人たちは、おしなべて伴侶よりもしっかりした頭脳を持っている。時代ゆえに脇役に徹するしかなかった彼女たちは、Mamahの行動力に憧れ、Frankや歴史から忘れ去られた彼女に同情を覚えたにちがいない。
●読みやすさ ★★☆☆☆
特に難解ではありませんが、展開が緩慢に感じるかもしれません。
●ここが魅力!
フィクションとはいえ、フランク・ロイド・ライトの人格描写は史実に基づいた正確なものだということです。フランクとママーが互いの間に何を見出したのか、何を得て、何を失ったのか、ロイド・ライトのファンには興味深いところです。
●アダルト度 ★★★☆☆
性描写はさほどではありませんが、結婚・浮気といったテーマは高校生でもあまり興味はないでしょう。
●この本を楽しんだ方にはこんな本も……
「Water for Elephants」by Sarah Gruen
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