作者:Michael Crichton
1987年刊
ジャンル:SF/心理サスペンス・スリラー
南太平洋の海底で300年から1000年前に地球に衝突したとみられる宇宙船が発見された。合衆国政府は、この宇宙船を調査するために数名の科学者を極秘に集める。海軍中佐、宇宙物理学者、女性動物学者、数学・論理学者、そして主人公の心理学者Norman Johnsonの五人は深海にもぐり、球形(sphere)の宇宙船を調査することになる。外界から切り離された深海で彼らが発見したのはUFOではなく、説明不可能な事実だった。人工の居住地で孤立した科学者たちに次々と恐ろしい出来事が起こり、心理的に追い詰められた彼らは互いを疑うようになる。どうやらすべての異常な現象はSphereが原因のようだ。この球形の物質はいったい何なのか?はたして彼らは生還することができるのか?
●読みやすさ ★★☆☆☆
マイケル・クライトンの文体は簡潔で会話も多く、読者を引き込むのが上手な書き手として有名です。ただし、専門用語や省略語なども頻繁に出てきますから、そこを「読みにくい」と感じる方がいるかもしれません。完璧に理解できなくても物語の展開を追うことはできますから、いちいち単語を調べずに先に進むことをお勧めします。
また、登場人物の紹介と状況の説明に費やされる最初の部分は退屈に感じるかもしれませんが、いったん奇妙な出来事が起きはじめると、途中でやめることができなくなります。最初のうちは軽く読み飛ばしましょう。
●ここが魅力!
なんといっても、説明不可能で不気味な出来事が次々に起こるハラハラどきどきの展開はクライトンならでは。人間の精神に関連した超常現象を扱っていても科学的に説得力があるのは作者が医師の資格を持つ科学者だからでしょう。
超常現象の謎だけでなく、登場人物の心理ドラマも加速度的に高まってきます。徹夜してでも読み終えたくなる、読み終えてもすぐには眠れない、そこがこの本の魅力です。
映画化もされていますが、(あまりできの良い作品ではないようなので)そちらは観ないことをお勧めします。
●アダルト度 ★★☆☆☆
中学生以上。
アメリカ人でも小学生が読まないのは、コンセプトを十分に理解できないのと悪夢を見る可能性があるからです。科学や人間の精神性といったサブジェクトに興味を持ち、すぐに怖がらない性格であれば小学校高学年から楽しめるでしょう。
●この本を楽しんだ方にはこんな本も……
「Jurassic Park」by Michael Crichton
「The Andromeda Strain」by Michael Crichton
「The Host」by Stephenie Meyer
「I Am Legend」 by Richard Matheson
コメント
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