昨夜、レキシントン公立学校冬期恒例の「オール・タウン・コンサート」にでかけてきました。
オール・タウンと言っても、音楽教育を受けている生徒が多すぎて全員を一度に集めることができなくなり、今ではいくつかのカテゴリーに分けて行われています。
昨夜は吹奏楽のパート1。町に6つある公立小学校のうち3校とそれらの卒業生が入学するダイアモンド中学校、そして町唯一の普通科公立高校レキシントン高校の吹奏楽団が演奏しました。今夜のパート2では、残りの小学校3校とクラーク中学校、そして高校の吹奏楽団だけが再度演奏します。高校が2度に分けて演奏するのは、小中学生たちに「将来は君たちもこんなに素敵な演奏ができるようになるのだよ」と印象づけるためです。
レキシントン公立学校では小学校4年生で弦楽器、5年生で吹奏楽器を希望者に教え始めます。そして中学校ではほぼ全員の生徒が音楽の授業として弦楽器、吹奏楽器、あるいは合唱を選択します。
小学校の吹奏楽団、中学校6年生の吹奏楽団、中学校7年生と8年生の合同吹奏楽団、というふうに学年で分けられていたものが、高校になるとオーディションで2つから3つの楽団に分かれることになります。
最高レベル(オナーズレベル)の「レキシントン高校吹奏楽団」は、MICCA(マサチューセッツ州指揮者協会)主催のフェスティバルで毎年金賞を受賞し、バークレー音楽大学主催のフェスティバルで1位、全米トップの吹奏楽団だけが招待されるディズニーのフェスティバルでフロリダへ遠征したりしていますが、さすがにオーディションは難関で、たったこれだけの生徒しかいません。選び抜かれた生徒の演奏はプロ並みで、ボストン・ポップのコンサートくらい楽しむことができます。(上手な子は本当に驚くほど上手です)
オーディションを受けて拒否された生徒だけでなく、オナーズレベルになると毎日練習しなければならないから入りたくない(これは私の娘。楽器は学校に置いたままで家には持って帰らない)、という生徒もいます。そんな生徒にとっては、シンフォニックバンドに入るという手があります。
中途で楽器を投げ出す生徒が少なかったのか、今年は120人を超える巨大な吹奏楽団になってしまい、ステージから溢れそうになっていました。
シンフォニックバンドで選抜された生徒による、コンサートバンドというのもあります。ここからまた新たに選抜された者(我が娘のようにやる気はあんまりないのだけれど、フレンチホルンという楽器が必要だから、というケースもあります)は、オーケストラも兼任します。
高校時代、音楽部(合唱団)に入っていた私にとって、複数の吹奏楽団、オーケストラ、合唱団、ジャズ・ビッグバンド、ジャズコンボ、アカペラ、マーチバンド、個人演奏、そしてミュージカル、と生徒の過半数が音楽に関わっている公立高校というのは心温まる存在です。
コンサートのスケジュールをごらんいただければ、どれほどこの町と公立学校が音楽教育に情熱を注いでいるかおわかりいただけるかと思います。
公立学校の資金のほとんどは町民の住民税でまかなわれています。
それを承知しているために、吹奏楽団とジャズを指導しているジェフ・レナード氏は、町民のための無料ジャズコンサートを毎年行っています。
そこには、車いすや杖をついてやってきた高齢者がいます。
レナード氏はコンサートの前に必ず「あなたがたのおかげで、このようにすばらしい音楽教育ができることを感謝しています」とスピーチします。
彼は、生徒から最も尊敬されている教育者でもあります。
コメント