アメリカではDishwasher(自動皿洗い機)がない生活なんて考えられません。
冷蔵庫の半分くらいの大きさで、カウンターの下にぴったりはめ込まれていて、普通はいったん設置したらちょっとやそっとで買い換えるものではありません。
ところがわが家の頭がおかしくなりそうにうるさい自動皿洗い機が突然死し、買い換えの機会がやってきました。そこで、以前から欲しかった静かなBoschを注文したのですが、これが想像したよりも大変なプロジェクトになってしまいました。注文した会社の技術者が古いGEの皿洗い機を取り外したところ水道管が飛び出していて、Boschのタイプは入らないということが判明。水道管を取り替える必要があるけれど、彼は配管工ではないからできないとのこと。そこで私がふだんお願いしている配管工に来てもらうことにしました。翌日忙しいスケジュールをなんとかやりくりして来てくれた配管工のダンはとても礼儀正しい青年で、技術もあるのだけれど、3時間ほどしてから「なぜか電気が通じない。配線に問題があるかもしれないけれど、僕の知識では無理だから電気技師が必要だと思う」ということで彼がよく一緒に仕事をする電気技師が翌日来てくれることになりました。
ところが一日待っても電話がかかってきません。
そこで私はふだん仕事をお願いしている電気技師のアレンさんに「SOS」の電話をしました。
このアレンさんのユニークなところは、(ワーキングクラスのイメージが強いアメリカにおいては珍しく)とても知的で、クリーンでグリーンなところです。
コーヒーや紅茶は避けて有機栽培の緑茶を飲み、自然にやさしい洗剤を使い、ソーラーパネルを設置しています。
「ソーラーパネルのビジネスのほうはどうですか?」と尋ねると、彼は大きくため息をついて、「パネルを設置すると政府から補助金が出るので、結果として設置費は1万2千ドル(約130万円)くらいになりますが、電気代の節約で元をとれるまでに12年かかります。そこでみんな設置をためらうんです。政府がもっと補助金を出してくれれば設置したい人は沢山いるんですよ。でも指導者が変わらないかぎり政策が変わることは期待できませんからね」と現在の政策の欠陥を詳しく教えてくれました。
「アル・ゴアが大統領だったら今頃はもっと沢山のソーラーパネルが設置されていたでしょうね」
私がそう言うと、アレンさんは熱意をこめて、「そうですよ。8年前にアル・ゴアが大統領になっているべきだったんですよ」と言いました。
2000年にアル・ゴアが大統領候補だったとき、リベラルを自負する若者たちがテレビで「誰が大統領になっても同じ」と皮肉を込めて語るのを見ました。でも、それは大間違い。イラク戦争だけでなく、環境に関しても政策がどのように人の将来に影響を与えるのかを学んだ会話でした。
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