376ページ(ハードカバー)
出版社: Wiley
2010年3月2日発売
ISBN-10: 0470553731
ISBN-13: 978-0470553732
ナスダックの元会長バーナード・マドフ(Bernard Madoff:英語ではメイドフと発音)がヘッジファンドを使ったねずみ講詐欺で2008年末に逮捕されたことは、米国人にとってはまだ記憶に新しいことです。詐欺の額は(wikipediaによると実際の額を知ることは不可能なようですが)$12~ $20 billion(120から200億ドル)という見積りで、自殺者や運営の危機に面した名門大学や美術館などの非営利組織など、米国社会に大きな衝撃を与えました。また、ユダヤ人の友人は、「ユダヤ人がユダヤ人を食い物にするということは、これまでこの規模ではなかった。ユダヤ人社会での信頼の根底を揺るがし、大きな心理的打撃を与えた」という指摘していました。
それにしてもこれだけの詐欺がこれまで発見されなかったのはなぜなのか、誰でも不思議に思うでしょう。本書の著者でQuantitative Financial Analyst(クォンツ・アナリスト)の ハリー・マルコポロス(Harry Markopolos)は、2000年からマドフのねずみ講詐欺に気付きSEC(Securities and Exchange Commission:米証券取引委員会 )に通告してきたのですが、誰一人耳を傾ける者はいなかったというのです。それでも彼はマドフが逮捕されるまで執拗に通告を繰り返しました。マルコポロスは、SECの無能さを、Outback(ステーキレストラン)でステーキが見つけられず、Dairy Queen(アイスクリーム屋)でアイスクリームが見つけられないほど、と例えています。それほど無能なエージェントたちが今でも職を失わずに仕事を続けているというのはすごい世界だとも思いますが、マドフの同業者やライバルが何もしなかったことも不思議です。 景気の変動にもかかわらず毎年12%などという馬鹿げた利益を出し続けるヘッジファンドなどあり得る筈がないのですから。実は、彼らの多くは詐欺に気づいていながら何もしなかったのです。その心理についてもマルコポロスは言及しているようです。
本書は、この事件の内幕を金融の素人にもわかるように分かりやすく描いているだけでなくまるでスリラーのようだということで、(直接被害を受けるほど金持ちではなかった庶民の私は)読むのを楽しみにしています。
これはrachel Maddowショーでの著者のHarry Markopolosのインタビューです(CMのあと)。
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