最近になって、大統領候補のバラック・オバマ氏の宗教的指導者であり、家族同様に親しくしているシカゴの有名なブラックチャーチ(信者のほとんどが黒人の教会)Trinity United Church of Christのライト元牧師が過去に行った説教が問題化しました。
問題になったのは、以下の部分です。(MSNBCより抜粋)
“Barack knows what it means, living in a country and a culture that is controlled by rich white people,” “Hillary can never know that. Hillary ain’t never been called a [二ガー]!”(バラックは、金持ちの白人にコントロールされた国と文化で生きることの意味を知っている。ヒラリーにそれを実感することはできない。ヒラリーは「二ガー(黒んぼ)」と呼ばれたことなんかないのだ)
(写真は、バラック・オバマ候補。MSNBCより)
“We bombed Hiroshima, we bombed Nagasaki, and we nuked far more than the thousands in New York, and we never batted an eye,” “We have supported state terrorism against the Palestinians and black South Africans, and now we are indignant because the stuff we have done overseas is brought right back in our own front yards.”(我々は広島に原爆を落とし、長崎に原爆を落とし、ニューヨークよりも何千人も多くの人々を原爆死させたが、平然としていた。パレスチナ人や南アフリカの黒人に対する国家のテロを援助した。外国で我々がやってきたことが、今になってこの国に戻ってきたからといって、憤慨している)
日本人ならば「ごもっとも」と同感しそうな説教ですが、愛国心を最も重んじるアメリカ国民にとって、ニューヨークの同時テロがアメリカの自業自得だというのは非常に問題発言なのです。個人的に親しい黒人牧師の極端な白人逆差別発言と非愛国者的発言は、オバマ氏にとって致命的になるかもしれない、と見られていました。
しかし、オバマ候補は、今日演説で、ライト牧師のこれらの説教は強く否定するが、彼の人となりを尊敬しており、縁を切ることはしないと毅然とした態度で語りました。自分を育てるために尽力してくれ、非常に愛している白人の祖母が黒人に対する恐怖を口にしたり、人種差別的な発言をしたことをあげて、たとえすべての意見に賛成することができなくても、彼らは自分の一部であり、アメリカの一部だと説明しました。
すべての演説はこちら。スピーチライターを使わずに、自分自身で書いたものだということです。
この演説は、彼が日頃語っている「自分とは異なる思想・理念を持った人々とも協力してゆける」という長所を引き出すものでした。この演説により、オバマ候補は潜在的に政治生命を失いかねない苦境を脱出しただけでなく、彼を知らなかった人々にも「大統領になるだけの知性と理性を兼ね備えた人物」という印象を与えることになったと思います。
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