朝目覚めると、天井にドームがあるというのは、なかなか不思議な感覚です。
ところで、モロッコに来る前に服装についていろいろと調べてみたのですが、けっこう難しいのですよね。
最近では、マラケシュで見かける若いムスリムの女性がモダンな服装になってきていると聞いています。特に気を使う必要もない、という体験者もいます。
けれども、その一方で、肩やふくらはぎが見える服を着ていて「怒鳴られた」とか「唾を吐きかけられた」という体験談もあり、「(民族衣裳の)ジュラバを着てよかった」という意見も多いのです。
そこで、マラケシュの学者の家系で生まれ育ったガイドのAnasさんに「地元の人の気分を害さず、とけこむためにジュラバを着ようかと思うのだけれど、どうか?」と尋ねてみました。すると「それはすばらしいアイディアだ」と知り合いの洋服店に連れて行ってくれました。
「お土産ではないので、食料品を買いにでかけるような安い普段着を」とお願いしたのですが、ツーリスト対象のお店じゃなかったせいかすごく高くて、値切ったのにもかかわらず、二人ぶんで2万円程度にしか下げてくれません。観光客用の店なら、絶対にもっと安く買える筈です。
「たった4日間しかいないのに、勿体ない」と買うのをやめようかと思ったのですが、「これも旅の体験」と夫が言うので、買うことに決めました。
もちろん外国人だということは明らかなんですが、「よしよし」という受容の頷きのようなものを多くの人から受けました。
まずは、ガイドさんが大好きなBen Youssef Medersa(ベン・ユースフ学院)です。エジプトなどとは異なり、ここではイスラム教徒以外がモスクに足を踏み入れることはできません。ですから、イスラム建築に興味がある人は、ここが一番なのです。マドラサとはイスラム圏の高等教育機関で、ヨーロッパの大学に匹敵するものです。
「コーランも教えていたから『神学校』と伝えているガイドブックばかりだが、間違っている!」とガイドさんは憤ります。コーランを修得していることは入学の最低基準であり、法学、歴史、哲学、自然科学などを学ぶ広範囲な教育機関だったのだ」ということでした。
彼の一族の男性は学院が閉校するまで皆ここで学んだということで、父親は法学者で判事でもあったそうです。このマドラサは、ですから彼にとっては個人的な誇りもあるようです。
Anusさんの視点での「イスラム教とキリスト教の違い」は非常に興味深いものでした。世界観や人に対する考え方、男女のあり方、善や奉仕、など私とは意見が異なることが多いのですが、育った環境や宗教観の影響について学びが多い体験でした。
その後は、Anusさんの(強引な)案内で薬草などハーブの専門店に行き、ハーブやモロッコオイル(Moroccan Oil)などを買い込み、首のマッサージをしてもらい、
(「買う気はない」というのに)、カーペット屋さんに連れてゆかれ、金持ちの客のように、豪華なアンティークの絨毯を見せてもらい、「ご説明ありがとう。でも買いません」と断り、
革の競り市に行き、
革の加工の暗い小道を通り抜け、ボールのスペシャリストとご挨拶。彼は愛想は良いのですが、ツーリストにはまったく興味なし。
そして、Anusさんに「安くて美味しいランチの店」に案内してもらい、ヒラリー・クリントンやエマ・ワトソンも案内したという彼とそこでお別れ。
ランチの後は夫と二人だけで、メディナ探索です。
方向オンチの私と異なり、歩くGPSのような彼の後について細い道を歩いてゆきます。
欲しいタイプの鞄をみかけてストップ。でも、色や大きさなどでぴったりするものがないので立ち去ろうとすると「好みを教えてくれ。探して来るから」、注文をきいて、どこかからか持ってきてくれました。
そして価格のネゴシエーションをして、ようやく決着がついたら、握手して笑顔で記念撮影。
小道はまるで迷路。気をゆるめると、すぐに迷ってしまいます。人ごみの合間を縫ってモーターバイクや自転車や荷車が通るので、それを避けるだけでけっこう疲れます。
小道の怪しさは、ハリー・ポッターのDiagon Alleyを連想させるところがあります。
でも、こんなに素敵な場所にも遭遇します。
くたくたでリヤドに戻ったのですが、屋上でミントティーをいただくと、すっと落ち着きました。
翌日はアトラス山脈に足を伸ばします。
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