アメリカの先住民(人によって、ネイティブアメリカン、あるいはインディアンのどちらかの名称を好むようです)の間には、自然界を観察することから人々が学び、そして口承で伝えて来た数多くのストーリーがあります。
この絵本「インディアンのティーチングストーリー 古井戸に落ちたロバ 」も、そんなストーリーのひとつで、「生きるとはどういうことか」を教えてくれるものです。
でも、良いことをすれば報われる、とかいった類いのストレートで道徳的な教えではなく、読者それぞれが自分で考えて到達しなければならない「教え」です。私は3度ほど読み直して、「なるほど」と思いました。
北米大陸を旅してメディスンマンから先住民の精神や物語を学んだという北山耕平さんの再話もさることながら、それを絵と文で表現したobaさんの才能には感心します。この味はなかなかのものです。
読後に「このお話は何を伝えたいのだろう?」、「生きるってどういうことなのだろう?」と誰かと語り合ってみると面白いかもしれません。そういう意味では、大人のための絵本でもあります。
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