来年大学に進学する予定の娘は、neuroscience(神経科学)の部門が充実している大学に入学したいと言っています。数年前からオリバー・サックス博士の本を読んだり、脳に関するドキュメンタリーを観たりしているうちに、「脳は面白い」と言い出した彼女は、オンラインで 大学の講義を観たりして、ますますその思いを強くしていったようです。
そういう娘の話に延々と耳を傾けていたので、池谷裕二さんの『単純な脳、複雑な「私」』(朝日出版社)には、どっぷりとはまることができました。
池谷さんは、これまでに糸井重里さんとの対談『海馬/脳は疲れない ほぼ日ブックス 』、そしてコロンビア大学留学時にニューヨークの高校で脳科学の講義をしたときの『進化しすぎた脳 (ブルーバックス) 』を出しておられますが、今回は、池谷さんが母校の高校で行った講義を本にしたものです。
この本の魅力は、高校生がこの科学の分野に興味を持たずにはいられないような、興味深いテーマと語り口です。一貫したテーマは「心の構造化」で、「心は脳から生まれる」という単純な発想にまったをかけ、「心を外から眺めること」の重要さを科学的に説明してくれます。大人でも「もっと科学を勉強しておけば良かったなあ」と思わずにはいられない本です。
内容をまとめてご説明しようとして2度読んでみましたが、どうも無理なようです。なぜかというと、それだけで1時間くらいディスカッションができるようなトピックが、何百の単位で詰め込まれているからです。あえて例をあげると、「幽体離脱」や「自分か他人かを区別できなくなる」というのは、実際に私が体験していることなので、姉や妹と語り合うと、これだけで数時間はあっという間に経つでしょう。読み捨てせずに、「えっと、あれは何だっけ?」とまた取り出して読み、知人や家族とディスカッションできる、お得な本でもあります。
もうひとつ私が気に入ったのは、新しい読書スタイルを試みておられることです。
まずは、ページの角にある「パラパラ漫画」をシミュレーションとして使い、ローテクな紙媒体をハイテクに使っていること。そして、もう一つは、ケータイから動画特設サイトに行って、実験を見ることができることです。
私の本でもお世話になった長崎訓子さんのイラストも、シュールで楽しい味を出しています。
脳の本は沢山出ていますし、特に洋書ではよく読んでいますが、こういうスタイルの本は初めてで、とても楽しめました。
どうぞごゆっくり。
私も読まねばならぬ本や読みたい本がたまりまくっています。
今、急ぎの仕事があってそれに集中してるもので。
投稿情報: 渡辺由佳里 | 2010年11 月17日 (水) 15:57
先輩、アマゾンで「ゆるく、自由に、そして有意義に~ストレスフリーツイッター術~」を、月曜日に、双子がケータイから申し込んでくれたら、早速、水曜日に、自宅まで届きました!!
なんて・・・便利な世の中!!!!
でも、町の本屋さんが…どんどん減っている訳が、ちょっと分かった気もして、嬉しい半面、ちょっと複雑。
図書館も楽しいけど、街の本屋でデートの待ち合わせしたり・・・、何かわくわく、どきどきする週刊少女漫画を買いに出かけたり、そう言う楽しみって…やっぱりお店で無いと、できませんものね。
あ、先輩の本、あとがきからまず読んで、とりあえず、待機。今伊坂幸太郎を読んでいるので(チルドレンの文庫)これを読み終えたら…いよいよ先輩の、この本にかかります。
また読み終えたら…お便りしますね♪
投稿情報: ぐりぐら | 2010年11 月17日 (水) 15:44