英語版にまったく説明を入れなかったので、「マサチューセッツ州では大雪が降っているというのに、なぜこのようなグリーティングなのか?」と不思議に思った人は多いよう。「ハワイにバケーションに行っているの?」という質問を受け取ってしまった。(それならうれしいのだけれど…)
わが家はみんな冬のスポーツが嫌いで、機会があれば暖かい場所に逃げ出す。
コネチカット州に住む姑は、(顔を見るだけで腹が立つらしい彼女の夫を置き去りにして)毎年もっとも寒さが厳しい3ヶ月をフロリダ州のリゾート・コンドで過ごす。2月に1週間学校の休みがあるので、毎年「遊びに来なさいよ」と誘われるのだが、夫と娘は3年前に一度遊びに行っただけでこりごりした様子。「二度と行きたくない」と陰でぼやいている。
その最大の理由は、1)リゾートがあるネイプルズは、フロリダ半島の南西側で、波がまったくない。2)リゾート人口の大部分はリタイヤした人々である。
町は整然としていて、暖かくて、ビーチには素敵なレストランや豪邸が並んでいるのだけれど、みんなおとなしくビーチに座っているだけで、誰も海で泳がないというリゾートは、われわれにとっては気が滅入る。トレーニングで1日に何十キロメートルも泳ぐ娘にとっては、体を動かさないのはかえって苦痛である。
泳ぎがさほど得意ではないので夫や娘のようにサーフィンはできない私も、波の下を潜ったり、サーフィンをしている人を見るのがビーチの楽しみである。何もしない人々に囲まれて、何もしないでいると、たった1週間でものすごく歳を取った気分になってしまう。
姑の友人のLさんは、このビーチに接した豪邸を持っていて、しょっちゅう姑をランチに誘うがビーチには来ない。
「Lは、海が嫌いなのよ。気が滅入るから、毎日たくさん抗うつ剤を飲んでるみたい」と姑が言うので、「じゃあなぜフロリダのビーチフロントなんかに住んでいるの?好きな場所に住めばいいじゃない」と軽く返したところ、「(フロリダ州の住民は収入税を払わなくてもよいから)Lのご主人はとてもたくさん財産を持っているのよ。だから、ここに住む以外の選択はないじゃないの」と私の無知を笑われてしまった。
だが、夫と私は「税金を払いたくないから嫌いな場所に我慢して住む」という感覚だけでなく、そんな感覚を持つ人々に囲まれて暮らすこと事態が想像できない。それに、他の年齢層や異なる職種の人々が存在しないコミュニティに住むと、Lさんではないが、たくさん薬を飲まないと一日を過ごせなくなりそうな気がする。夫と私は、「リタイヤしても、絶対にフロリダのリタイアメントコミュニティには住まない」と固く決意した。
沢山持っているのに幸福ではない人々を見ていると、リタイア後に夫婦で野菜作りをはじめ、ドライブ、写真撮影を趣味にしている私の両親がどれほど幸福な人々かわかる。私も、みんなから羨ましがられるような財産や豪邸よりも、毎朝目覚めるのが待ち遠しいような人生を送りたいと思う。
説明が長くなってしまったが、今年のわが家の目標は、お互いの存在と生きていることの幸運を楽しむことである。
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