糸井重里さんが、「死をテーマにした絵本をつくりたい」と谷川俊太郎さんに相談されてから2年以上かかってできた、とても、とても、特別な絵本です。
谷川俊太郎さんが一夜で綴った文章に、松本大洋さんが二年かけてイラストを描かれました。
「死」についての絵本というと、読むのがちょっと怖い気がしました。
死ぬのが怖いというのではなく、死を誰かに限定されたくなかったからです。私の死は自分で考えたいから。
でも、心配無用でした。
死がどういうものなのかを考えるのは、読む人に任されたままです。
最初の部分で、私は高校のときに亡くなった後輩と同級生のことを思い出しました。
人生のいろんな場面で、ときおり訪問してくれる人たちです。
後半部分では、そんなに遠くない未来にやってくる死について考えました。
怖くはありませんでした。
ここで描かれる死は、暗いものでもなく、安易に明るくもなく、
よく分からないまま存在するものです。
松本大洋さんの静謐なイラストから、音や声が聞こえてきます。
樹の幹やうさぎの毛皮の手触りも感じます。
暖かかったり、寒かったりもします。
そして、あまりの美しさに鳥肌が立ちます。
まだ立っています。
つい涙が出ました。
そして、鼻水も。
悲しかったからではありません。
世界の美しさをこうして感じられる、自分の人生がありがたかったからです。
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絵本についての詳しいお話は、動画もある「ほぼ日」のサイトを御覧ください。
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